直撃!フロントランナー
同志社大学「同志社ミツバチラボ」のメンバー(当時)が、ミツバチプロジェクトのフロントランナーにインタビューしたものをまとめています。

萩・石見空港ミツバチプロジェクト
本橋春彦さん

第11回は、萩・石見空港ミツバチプロジェクトの本橋春彦さんです。
本橋さんは2015年から2018年まで同空港の社長を務め、ミツバチプロジェクトの加速、多様化に尽力されました。プロジェクトは、2016年日本国内の空港では初の試みとしてスタートしています。
空港で養蜂を始めたきっかけは何ですか?
銀座ミツバチの田中淳夫さんが「空港の養蜂が欧米では盛んだけど、日本でもやってみないか」と全日空関連会社の「ANA総合研究所」に話をされ、ANA総研の副社長から私の所「萩・石見空港ターミナルビル」に話が来たのがきっかけです。早速2015年11月には、田中さんが空港に来られて、「ここは環境もいいし、蜜採れそうですね」と仰って帰られました。私はピンときていませんでした。
ピンときていないとは?
私はこちらに2015年に赴任したばかりでして、話だけでも聞いておけばいいかなくらいでした。年が明けて、2016年正月明けに今度は、広島県立油木高校応援養蜂部の2年生宮本うららさんから手紙が届きました。「田中さんから紹介を受けました。空港を花でいっぱいにしてミツバチを飼ったら活性化に繋がるのではないですか」というプレゼンです。連絡先も書いてあったので連絡をしますと、「田中さんから連絡を受けていたので、実は正月に空港を見に行ったんです」と仰ったんです。そして「蜜採れそうですね」と田中さんと同じようなことを言うんです。プレゼンもしていただいていましたし、知らない間に来てもいただいているので、「せっかくなのでもう少し詳しくお話をお聴きするために次は私がそちらに行きます」と2月に高校に行くことにしました。
高校生が冬休みに来てくれていたんですか?
私も行くからには、1人ではなく、空港のある益田市市役所の経済産業部長と地元の企業(益田興産さん)の3人で行きました。そこでまたプレゼンをしていただき、やろうかなと気持ちも動いていきました。すると宮本さんからは「やるにはレクチャーも必要ですし、カリキュラムも作ります。ただしっかり勉強して1年後にやるか。それともこの春からやりますか」と聞かれまして、1年先だとまた私も赴任の可能性もあるので、「春からやります」とそこで3人で決めました。
すごいですね。もうやる気になっておられたということでしょうか?
そうなんです。宮本うららさんという高校生に心を動かされましたね。最初プレゼンを見た時も感動しましたが、私の知らない間に空港に来られていたことも心動かされました。なんとかお返しをと思い、実際にお会いしお話ししていくと、どんどんとやる気になっていきました。15回の年間カリキュラムも作ってもらい、その時には私も「空港を有名に、メジャーにしたい」と思いが強くなっていきました。
市役所の方と企業の方と一緒に行かれたのは、その時から覚悟は決まっていたのでしょうか?
私の仕事は異動があるので、養蜂を始めたとしても後任がいないと続かないと思いました。だから、最初から役所と地元の企業にも同行をお願いしました。また、油木高校からも「養蜂は多くのグループが関わるよりも中心になる人達の小グループでやってほしい」と言われていましたので、3名で行きました。
空港の周りは自然が豊かなんですね?
私も養蜂をやってみて気づいたのですが、季節によって花が咲いていく様子が分かりました。桜もいろんな種類があって、ずらして咲いていくんです。ミツバチに受粉してもらいたいので、花の方が開花時期をずらしていることもわかってきました。3月から4月以降も順々に咲いていきます。一気には咲かないですね。ここは蜜源植物が多いことも後から分かってきました。冬の花が咲いていない時期に田中さんや宮本さんが来られて、「ここは蜜源が多いですね」と仰っていましたが、今はそうだと分かりました。桜、みかん、スミレ、野大根、一番とれたのは栗です。栗の蜜はほんとおいしいです。

地元の方の反応はいかがですか?
蜜源植物の話をしましたら、以外にもあまりご存じなかったですね。我々も地元の人も勉強になりました。農家の方からも「ミツバチが増えてからは、作物が良くとれるようになった」と喜びの声を頂きました。
空港でミツバチを飼われるのは、環境のことも考えてのことでしょうか?
そうですね。ヨーロッパの空港では盛んで、フランクフルトやミュンヘンなどの国際空港でも養蜂が盛んなのは、蜜を取るためよりも飛行機が出す廃棄物や二酸化炭素など、ミツバチがいることで環境が良いですよという証明のために飼っていますね。
商品開発等どのように進めておられますか?
商品開発は地元の引き継いだ方にやってもらっています。空港ビルの「女性スタッフ(杉内さん)もマイスターの資格を取ってやってますね。瓶も最初は130グラムだけでしたが、お客様から「さかさまになってもこぼれない容器(230グラム)を作ってほしい」と要望があったり、スティック状のものも作りました。毎年違う商品を増やすことを目指しています。

地元の人も買いに来られますか?
地元の人にも食べてもらいたいので、地元のスーパーでも置いてもらったことで親しみを持ってもらいました。空港は益田市から車で10分の所にあるんです。でも利用しない方にとっては遠い存在なんです。だから、地元の人にも知っていただきたかったですね。

地元の人に喜んでもらえたのはいいことですよね?
今は、軽度の障がい者の方にも雇用として瓶詰めをしていただいています。将来的には高校生とか子どもたちとの関わりを増やしたいと思っています。空港まつりのイベントをやったり、地元の方の見学会、島根県立大学と利用促進のテーマで話し合ったりしています。
