直撃!フロントランナー
同志社大学「同志社ミツバチラボ」のメンバー(当時)が、ミツバチプロジェクトのフロントランナーにインタビューしたものをまとめています。
自由が丘 丘ばちプロジェクト
中山雄次郎さん
第8回は、自由が丘商店街振興組合事務長で、丘ばちプロジェクト隊長の中山雄次郎さんです。
丘ばちプロジェクトは、2009年に自由が丘商店街を中心にスタート。初年度にバラのハチミツを作ることができたことをきっかけに、バラを軸にしたまちづくりと都市養蜂に取り組んでいます。グランドコンセプトは「ミツバチは、人と自然をつなぐもの」。国際養蜂協会連合「アピモンディア」で日本人初の理事を務めた渡辺英男氏の言葉にちなむものです。
商店街にとってのミツバチはどのような位置づけですか?
一般的に商店街と聞くとアーケードのような通りを想像すると思いますが、自由が丘の商店街は面に広がっている感じで商店街というよりは駅を基点に一帯に広がるまちのようなものです。更に、住宅街と密接している。そのためタウン・マネジメントの意識で活動を行っています。
一般的な商店街の枠を超えて、環境活動もしています。ミツバチの箱は駅近くの商店街のビルの屋上に巣箱を置いています。蜂はかなり広範を飛ぶため、住宅街の皆さんに蜜源のお花を植えていただき、住宅街の皆さまと共同で行っていて、それが環境への意識を高める活動にもなっていると考えています。ミツバチの世話をしているメンバーも住宅街の主婦の方が多く、その方々のお陰で運営できています。
自由が丘の街は商売と住宅との境がないのが特徴でしたが、そこには見えない壁がありました。それをなくすために、以前から、環境活動として協力して掃除をしていたことから、商業・住宅の境を関係なく飛んでいくミツバチを飼うことで、更に繋がりを作れないかと考えました。
商品開発はどのようにしているのですか?
自由が丘1300件の商人がいる商店街であり、ハチミツを使いたい人は多くいます。しかし、あまりにも商業に傾くと住民との関係性がまた微妙になってしまいます。そのため、ハチミツを使いたい店とは1つ1つ面接をして、本当にその目的を理解してくれている店を協力者にしています。この基準を非常に厳しくすることで、住民たちに「結局、商業目的でしょ」と言われないようにしているし、住民を大切にしています。
基準は、マニュアルをしっかり設けて明確にしています。理由は、この活動が自由が丘緑化計画の1つとして行っているためです。ですので、そのことを理解しているか、店も緑化に協力してくれるか、またマスコミの取材が来たときは必ず丘ばちプロジェクトを通す、等の条件つきとしています。このように条件を明確にしたことが良かったと思っています。
何件くらいの店が賛同しているのでしょうか?
当初は、かなり基準が厳しかったために10件未満でした。現在、今後どうするかを見直ししています。理由は、基準が厳しすぎたということです。新型コロナもあり、ハチミツの使い方をどうするか?を検討しています。*2021年目黒区のふるさと納税返礼品に選ばれました。
どうして丘ばちを絵本にしたのですか?
ミツバチは話題も作れるし、瞬間的に人は集まりますが、すぐに離れてしまう人も多いものです。きっと全国都市養蜂の推進者も同様に感じているのではないかと思います。マスコミに出ると、1か月くらいはすごく盛り上がりますが、半年も経つと人は離れてしまいます。その度に、アドバルーンを揚げなきゃいけない苦労を抱えていました。その繰り返しの中で学んだことで、ミツバチがもう少し日常的に、心に入りやすい存在だといいな、と考えました。例えば、子供だったら絵にしたり、話をしたら、そこから入っていけるのではないかと。塗り絵やグッズを配ると、意識をしてくれる人が増えることもあります。バラも同じです。ガーデニングが好きな人も多いので、もっと広く浅く、多くの人はこの活動に入って来られるようにしたいと思っています。
丘ばちプロダクトの売れ筋は何ですか?
売ることに必死になっておらず、活動自体が商業化されていないので、売れ筋というものはありません。モンブランさんの丘バチ爆弾、丘バチカステラなどが知られていますが、ハチミツを店に渡した時点からその店の活動になります。
丘バチくんのキャラクターのロゴはありますか?
ロゴというよりは、キャラクターを浸透させています。ロゴは自由が丘で認知されています。ガラガラポンのイベントに丘バチくんをつけたエコバックを提供したりしています。
住宅街の人は環境のことを一番気にしていると聞きましたが、どんな意見がありましたか?
例えば自由が丘の商店街は、月に1回はイベントをします。そのイベントを、自由が丘の人達はとても楽しみにしています。青空の元、お酒を飲みながら音楽を聞く、というようなイベントです。そのようなイベントの中で、あまりにも商業的になったりすると「この間のイベントひどかったねー」とうようなダイレクトな意見をもらえます。「ああいうところで丘バチハチミツを使ったアルコール飲料やソフトドリンクとかあったらいいのにね」など、様々なフィードバックをもらうことができます。
初心者に伝えたい都市養蜂の醍醐味とは?
1.都会で本当にハチミツが採れる、ミツバチが生きていける、その驚き!
2.自分の知らなかった自然が見えてくる驚き!(1週間で蜜の味が変わる、自分の暮らす環境の植生が見えてくる、生物に敏感になる、など)
3.周りの人が驚いてくれる(笑)リスペクトしてくれる
4.交友関係が確実に広がる
5.自分自身のステージが確実に変わる(行い次第ですが、私たちは間違いなく上昇しました)
6.情報発信次第では、テレビや新聞に取り上げてもらえる
7.地域コミュニティに独自のポジションを獲得できる