直撃!フロントランナー
同志社大学「同志社ミツバチラボ」のメンバー(当時)が、ミツバチプロジェクトのフロントランナーにインタビューしたものをまとめています。

名古屋学院大学ミツバチプロジェクト
水野晶夫さん

第10回は、名古屋学院大学ミツバチプロジェクトの水野晶夫さんです。
名古屋学院大学ミツバチプロジェクトは、名古屋キャンパス隣りの名古屋国際会議場が2010年に生物多様性条約第10回締約国会議(COP10 )の主会場になったことをきっかけに、大学キャンパス内でスタート。2014年には、養蜂による地域振興に取り組む全国の学生を名古屋に招き「養蜂サミット」を開催。生態系の感じられるまちづくり推進のために、地元商店街と協力しハチミツ関連商品の開発や、はちみつ採集イベント等を実施しています。
大学がミツバチプロジェクトを始めたきっかけはなんですか?
銀ぱち(銀座ミツバチプロジェクト)さんの話をニュースで拝見しており、また私は2000年ごろから「にぎわいまちづくり」活動を大学の地域連携事業として実施していましたので、都市養蜂にはすごく関心がありました。でもその技術もないし、ネットワークもない。そんな時、2010 年に生物多様性条約の国際会議が名古屋で開催されることになって、名古屋学院大学名古屋キャンパスに隣接する名古屋国際会議場が主会場になったんです。COP10ですね。その直前に大学の新キャンパスを建設していたのが、鹿島建設でした。鹿島さんから「COP10が行われる予定なので名古屋学院大学さんでも都市養蜂をやりませんか」と大学に話が来たんです。そこで「面白いね」、「やろうか」っていう話になっているのを、私が聞きつけて「やるんだったら僕にやらしてほしい」と大学に掛け合いました。大学からの要請なので、やりやすかったです。自分で「ミツバチを飼う」なんて大学を説得するのは大変ですからね。そこで大学がやるという話に乗せてもらったわけです。それがきっかけです。当初、鹿島さんはニホンミツバチを飼育されていました。ですが私はやっぱりセイヨウでの養蜂もやりたかったですね。
それはどうしてですか?
セイヨウミツバチの方が断然採蜜量が多いからです。私は「にぎわいまちづくり」に関わってきたので、蜂蜜をいっぱい取って、商店街の活性化をやりたかったわけです。でも鹿島さんの良かったところは、ニホンミツバチの飼育を巣枠式で教えてくれたところでした。そのため巣枠式でのやり方、ノウハウがそこで分かったのです。そのあと、地域の養蜂家さんやマルハチプロジェクトさんや長者町ハニカム計画さんと情報交換して、繋がりました。養蜂家さんもちょうど僕の家の近くだったので、毎週のようにお邪魔して教えてもらいました。銀ぱちさんの養蜂講習会にも参加して、教える側の指導プログラムも学びました。大学では最初はニホンミツバチで始めましたけど、翌年からはセイヨウも入れて、両方やりました。私は自宅でもニホンミツバチも育てました。そうやって最初の2、3年で、ニホンミツバチとセイヨウミツバチのノウハウを実地も含めて習得しました。そのためニホンミツバチでもセイヨウミツバチでも養蜂講座ができますし、実際に大学主催の社会人向け講座やカルチャーセンターで養蜂講座も担当しています。
つながりは大事ということですね?
養蜂を商店街活性化やまちづくりに活かせることが確信できたので、名古屋各地の商店街や教育機関の方々に呼びかけて2011年に「ミツバチで地域活性化」講座を名古屋学院大学にて開催しました。その時講座に参加していただいた中から柳原通商店街「みつばちバーヤの会」、笠寺観音商店街「笠寺ミツバチプロジェクト」、そして愛知商業高校「ユネスコクラブ」が発足し、大学の地域連携事業の一環としてそれらの団体の発足を応援させていただきました。また、愛知県を中心とした「中部日本みつばちの会」の方々とも良好な関係を作っていて、現在の会長さんはこの講座をきっかけに養蜂を始められた方でもあります。この講座には養蜂家の方だけでなく、「マルハチ・プロジェクト」の松良さんにも講師のひとりとしてご協力していただき、当初から名古屋の養蜂団体とのつながりを大事にしてきました。さらに、その後新たに誕生した団体とともに「名古屋みつばち交流サロン」という交流会・勉強会を随時開催することにより、飼育技術の向上や都市養蜂の活かし方など学び合う機会を作っています。このような活動を通じて、名古屋の養蜂団体間の関係を深めることができたと自負しています。

学生さんは4年ごとに変わると思いますが、学内で養蜂が続いている理由、蜂のお世話が続いている理由を教えていただけますか?
「プロジェクト演習」という授業の枠組みで本プロジェクトを2010年から始めました。一年間の授業です。一年しかないので、授業に参加した学生で優秀な学生二名をSAとして、翌年にも参加してもらい、ある程度指導に関わってもらっています。ミツバチの飼育については病気の判断など学生だけは気づきにくいので、内検作業には学生が参加しますが、私がミツバチの様子を確認するようにしています。
収穫量はどのくらいですか?
毎年100kgから150kgです。今はセイヨウミツバチだけです。夏は5から6群くらいいます。その後3群くらいにして冬越しをします。年にもよりますが、豊作も凶作もあって、ミツバチの数が多い時も少ない時もあり、時にはミツバチの病気に悩まされることもあります。
群数が多ければいいというわけではないのですか?
蜂群数を増やすと、ご近隣への迷惑が気になります。1か所で5群か6群くらいが適当かと思います。また、名古屋の夏の暑さの中での作業が大変なので、作業時間が長くなりすぎないように蜂群数を制限していく必要もあります。
今までに近隣からの苦情などあったのですか?
過去には何度かありました。対応はしっかりやっています。私は大学の養蜂責任者ですので、苦情には誠意をもって説明させていただいております。
地域の理解は大事ということですね?
キャンパス隣にある日本庭園「白鳥庭園」にはプロジェクト発足前に挨拶に伺いました。本プロジェクトの趣旨を理解していただき、これまで庭園に散布していた農薬をストップしていただけることになりました。また、近所の幼稚園とか保育園の子ども達には、毎年大学キャンパスに来てもらって子ども向け教育イベントをやっています。学生たちがこのイベントを運営しています。ハチミツも試食してもらって、ミツバチも見てもらって、遠心分離機も回して、「蜂は怖くないよ」「ミツバチのおかげで野菜や果物が食べられるんだよ」と伝えています。この活動は10年以上続けており、今では地域の方にとても喜んでいただいています。

子ども向けのイベントもやっておられるのでしょうか?
子ども達はすごく興味をもちます。保育園の先生からは、「以前は園庭の花壇にミツバチが飛んでくると子どもたちは怖くて逃げていたが、今ではミツバチが蜜を集めている様子を温かく見守るようになった」との報告も受けています。また、学生たちも子ども達に教えていると、だんだんと上手くなってきて、ぬいぐるみを使ったり、受粉の様子を寸劇で行ったりしています。今の学生たちは子どもたちと接する機会も少ないですが、子供教育に関心を持つ学生も出てきて、良い学びの機会になっています。授業最後の振り返りで、「貴重な経験や学びができた」「視野が広がった」と発言する学生も多くいます。

屋上には、植物や植木は置いておられますか?
5階建てのビルの屋上にある蜂場のすぐ近くには屋上農園もあります。来年からは蜜源となるハーブを植えようと思っています。キャンパス内には学生が運営している「マイルポスト」というカフェがあり、連携してコロナ明けに強化しようと思っています。蜂蜜の商品は既に扱っていますが、ハーブティーもできるかなと思っています。このコロナ禍に学生たちと話して、アイデア出しをする中で出てきました。来年からはハーブも頑張ります。