直撃!フロントランナー

同志社大学「同志社ミツバチラボ」のメンバー(当時)が、ミツバチプロジェクトのフロントランナーにインタビューしたものをまとめています。

丸の内ハニープロジェクト

丸の内ハニープロジェクト
村上孝憲さん、深須布美子さん

丸の内ハニープロジェクト 村上孝憲さん

第5回は、現在ミツバチプロジェクト・ジャパンの理事で、取材当時、丸の内ハニープロジェクト実行委員会事務局だった村上孝憲さんと、現在も事務局を担当されている深須布美子さんです。
丸の内ハニープロジェクト実行委員会は、2015 年に、日本工業倶楽部会館の屋上にてセイヨウミツバチの養蜂活動をスタート。その後、丸の内のビルを拠点に活動場所を拡大。2016 年7 月より「丸の内ハニープロジェクト実行委員会」を組成し、地域の活動として大丸有エリア(大手町・丸の内・有楽町)のコミュニティ形成に取り組んでいます。

丸の内ハニープロジェクトについて教えていただけますか?

2015年より「銀座ミツバチプロジェクト」と「日本工業倶楽部」の共同プロジェクトとしてスタートし、2016年7月より当実行委員会を組成、地域の活動として大丸有エリア(東京都千代田区大手町・丸の内・有楽町エリア)のコミュニティ形成に役立てています。都市で生活する人にとって、どのようにしてミツバチや養蜂が近い物になるのか?が大切だと考えて、活動を始める際に、目指すゴールを次の五つに決めました。

1.都市の生態系改善をし、ミツバチが街路樹で受粉を行い、実ができ、それを食べに鳥が集まるような生態系が、都市でも感じられるようになること

2.都市の新たな魅力(価値)づくりとなること

3.様々な階層でのコミュニティ(地域内外、ビル内)が生まれ、更にそれが核となって新たな社会課題を解決するコミュニティになること

4.新たな販路開拓や商品開発、情報発信によって「大丸有エリア」の新たなブランド創出となること

5.全国・全世界のミツバチプロジェクトと連携すること

どのようなコミュニティが生まれ、どのような活動に繋がっていますか?

丸の内ハニープロジェクト 活動の様子

大丸有エリアで働く方が、就業前の朝の時間を使って活動しています。様々な業種業態の方が参加することで、多様なコミュニティが生まれていると思います。また、夏休みには、就業者の子供さん方が見学に来るなど、コミュニティの輪は世代を超えて広がっています。

他にはどのような活動を展開していますか?

丸の内ハニープロジェクト 活動の様子

採蜜したハチミツは、エリア内の飲食店やホテルでの食材として利用、マルシェでの販売、そしてハチミツ専門店や物販店舗とのコラボレーションにより、商品化も進めています。パンフレットやポスター、プロモーションビデを作って、エリア内の多くの方に活動を知ってもらう取り組みも行っています。

さすがに企業が関わっているからか、活動が洗練されていると感じられますが?

活動を始める時には、その出口を作っておくことが大切だと考えています。活動するエリアごとに事情が違っていると思いますので、エリアの特色を活かした出口戦略が必要だと思います。

コラボレーション先はどんな方々ですか?先方から依頼があるのでしょうか?

大丸有エリア内で営業されている「丸の内ホテル」のフレンチレストランさんや、丸ビル内のレストラン、洋菓子店、和菓子店等、多くの店舗さんとのコラボレーションが実現しています。エリアで採れるものを使って頂くことで、エリアマネジメントへの理解も深めて頂いていると思います。また、購入して頂く消費者の皆様にも、エリアに愛着を持って頂く契機になっていると思います。

大丸有エリアには多くの飲食・物販店舗がありますが、参加頂いているのはまだまだ少数です。また、大丸有エリアでは、28万人のワーカーの方がいらっしゃいますが、認知度もまだまだだと思います。もっともっと努力し続ける必要がありますね。

ミツバチを飼うようになり、関わる人・まちが変わったと感じていますか?そうであれば、それはどのような変化ですか?

丸の内ハニープロジェクト 活動の様子

とても小さな取組ですが、小さいところからスタートし、ここから様々な別のプロジェクトに派生していくのが面白いと思っています。要は、環境に対する意識を変えることですね。人が意識を変えることはとても難しいですし、都市で、自然に触れる機会も少ない中、意識を変えるきっかけになればと思います。

都市の人に伝えるために、工夫されていることはありますか?

やりたい側がふとやりたくなった時に、ちゃんと準備ができていることが大切です。そのために、パンフレットやポスターを張って、なるべく知っていただけるようにしています。一人だけではどうしようもないことが起こった時に、まちやコミュニティが一緒に考えてくれる、共助の世界なのだと思います。そういうまちになっていけば、どのような困ったことが起こっても、誰か助けてくれる人がいるじゃないか?というような、そんな場所になればいいなと思います。

初心者に伝えたい都市養蜂の醍醐味を教えていただけますか?

丸の内ハニープロジェクト 活動の様子

養蜂は家畜。牛を飼ったり、豚を飼うのと同じ。そういうことが、このビルがいっぱい立っているど真ん中でできる驚きです。そのような驚き=魅力がを感じてい頂けるといいなと思います。 また、ビルの屋上という普段あまり活用されていない場所を有効利用できるという点も、面白いと思います。

蜂に興味がある人もいれば、ハチミツに興味がある人、入口は色々あっていいと思います。極端に言うと、蜂は嫌いだけどはちみつは好き、というようなものでもかまわないと思っています。